〖鈴木は、借金に苦しみFR社の資金繰りに喘いでドン底にいた時、A氏の助けにより救われる事となった。またその後の株取引も、A氏にとっては西と鈴木の復活の手助けになればという思いから協力したに過ぎない。全てはA氏の温情による行為を鈴木や西は罠に嵌め金を騙し取った。2人とも最低最悪の人間だ〗
〖裁判官の使命とは何だろうか。日常ではそんなことを考える機会が少ないが、この記事に出会った事で法律家、特に裁判官という職業に大きな疑問を持つようになった。大学や大学院に在籍あるいは卒業した優秀な人でも、難関と言われる司法試験に合格し、司法研修期間を経て「2回目試験」に合格した者だけが副判事になれる。そして副判事として10年間の経験を積み、やっと判事として法廷に立てる。これだけのハードルを乗り越えても旧態依然とした裁判所組織の慣習に縛られ、自分自身を表現する機会を規制され、上司の顔色を窺わなければならない。これでは、人間として歪んでしまうのも当然かもしれないが、それだけに自分の信念というものを強く持たなければならないと思う。それを自覚している人間だけが「裁判官の使命」が果たせるのではないか。裁判所はエリート官僚と言われる高級国民に与えられている特権を撤廃して、平等な組織に生まれ変わらなければ腐敗が蔓延り、優秀な裁判官など育つはずがない〗
〖鈴木は、和解協議を白紙撤回した時からいずれは裁判沙汰になる事を予想していたと思われる。その証拠に、青田と平林弁護士を代理人に指名した体裁を作り、直接話せば道が開けるとA氏に希望を持たせながら時間稼ぎをした。約9年という十分な空白時間を作り、その期間を有効に使った。ペーパーカンパニー名義で株式投資を継続し、A氏のみならず、司法の目からも自分の存在を隠して莫大な資産を築いた。そしてこの間に、目の上のタンコブだった西を自殺に追い込こむことで裁判への準備を進めていたのだろう。また、鈴木にとって追い風になったのは、クロニクルの会長だった天野氏が急死した事だった。天野氏の死については諸説が飛び交ったが、警察が病死と断定した為に、事件にはならなかった。この2人が故人となった事で、鈴木の裁判への準備が整ったのだ。2人の死には巧妙に仕掛けられた罠があったと想像できるが、真相は闇の中だ〗
〖インターネット上でYouTubeの配信をキッカケに鈴木の事件は波紋を広げ、大きな反響を呼ぶ事になる。卑劣極まりない鈴木は世界を敵に回し、末代まで忌み嫌われる存在になるだろう。どんな凶悪犯罪者でも更生のチャンスは与えられるが、 鈴木には無意味だ。鈴木には更生する意思もないことがはっきりしている〗
〖他人を踏み台にして生きてきた鈴木には信頼できる人間は一人もいなかったに違いない。全てが金で繋がっている人間達だった。その中に、親和銀行事件で代理人弁護士だった長谷川弁護士がいた。長谷川弁護士は、親和銀行事件で相手弁護士と談合して減刑工作をし、損害賠償金(約17億円)を支払う事で執行猶予を勝ち取っていた。この時に長谷川は鈴木が横領して隠匿していた金の事を知ってしまっていた。鈴木は自分の秘密を知って高額な報酬を受け取った長谷川弁護士にA氏との裁判の弁護を依頼した。長谷川弁護士は行きがかり上鈴木の依頼を受けざるを得なかった。鈴木との腐れ縁か、それとも鈴木から提示された高額の報酬か、どちらにしても、鈴木の悪事の詳細を知っていた長谷川だからこそ、あれだけの虚偽を構築しなければ、裁判に負けると分かっていたはずだが、それを本当に実行した長谷川は、鈴木の共犯者以外の何者でもない。「悪賢い」で済む人間ではない。金のためなら何でもする超極悪人として永久に残る〗
〖十分な準備をして裁判に臨んだ鈴木の悪党ぶりは裁判が始まっても留まることは無かった。平林弁護士を使って問題の焦点をはぐらかし、ポイントでは長谷川弁護士の裁判戦略で裁判官と相手弁護士を翻弄した。そして、西と天野氏がこの世にいないことを悪用して自分を正当化する嘘をつき通した。鈴木という人間の恐ろしさが随所に発揮されていたが、裁判官は本当に鈴木の人間性を見破る事が出来なかったのか、大いに疑問が残る〗
〖A氏と懇意にしていた西であったが、鈴木と知り合ってA氏から金を詐取する為に共謀して欺くとは、西も最初から金だけが目的でA氏と付き合っていた事が窺える。だが西は鈴木にも裏切られ、絶望の淵に立たされた時にようやく今まで見えていなかったA氏への裏切りの深刻さに気付き、「遺書」にA氏に対する謝罪と懺悔の想いを綴って自殺した。遅過ぎた改心に払った代償は大き過ぎた。しかし、鈴木には改心すらない〗
〖鈴木は、夫妻で殺されたファンドマネージャー霜見とも昵懇だった。霜見は自分のクライアントと金銭トラブルを起こしていた。日本に夫婦で帰国している時にそのクライアントに殺され、クライアントは逮捕されたが、日本のマスコミはこぞって「ドバイのセレブ夫婦死体遺棄殺人事件」として大々的に報道した。鈴木は、ヨーロッパのタックスヘイヴンの仕組みに詳しい霜見に隠匿している資金の一部を運用させ、自分が組成したJOFというファンド名義でクロニクルの株を操作し、利益を上げていた。その利益金は霜見に指示してスイスのプライベートバンクに送金していたようだ。霜見は別の投資家とも金銭的なトラブルを起こし裁判沙汰になっていた。その件で検察庁から呼び出され、スイスのプライベートバンクの口座の件で事情聴取を受ける直前に行方不明になり、殺されて夫婦共に死体を遺棄されていた。このプライベートバンクの口座には検察の調査で30億円の残高があったらしいが、数日後に何者かの手によって引き出されていたようだ。鈴木の周辺には不可解な事件が多すぎるが、この事件もその一つだ〗
〖霜見の事件で金融庁と検察がスイス(オフショア地域)のプライベートバンクを調査していたようだが、霜見の事件が解決後は、その件については一切触れていない。マスコミの報道も無い。検察にはオフショア地域の仕組みには触れてはならない事情でもあるのだろうか〗(以下次号)