〖平成11年7月31日、西が前日にA氏に持参した株取引の利益15億円の処理で鈴木と西がA氏の会社を訪れた。15億円は合意書に基づいて5億円ずつの配当だが、2人の債務の返済が完了するまでは全額A氏に渡すという約束が守られたようにA氏には見受けられた。この約1カ月でA氏がいくらの買支え資金を投入したかは定かではないが、A氏は一安心した様だ。しかし、実際の利益金額はこの時点で約50億円だったという。A氏は2人の頑張りに対して1億円の心付けを渡している。鈴木の強欲と恩知らずの行動はA氏の思い遣りも通用せず、裏切りの道を突き進んでいた〗
〖西は、鈴木から最低30億円の利益配当を受け取っていた様だ。西は、A氏に報告せずに全てを着服していた。それにも拘わらず、株価の買支え資金は相変わらずA氏に頼っていたようだから呆れる。西も相当のワルだ。西の息子の内河陽一郎も父親と一緒にA氏からの資金を流用して株投資やギャンブルに浪費していたようだが、どれも相当の損金を出していたようだ。西親子もA氏を騙して資金を出させ、それを横領して浪費することに罪の意識も持たず、慣れてしまっていたのだと思う〗
〖株取引ではA氏は鈴木と西からカヤの外に置かれながら、その事実を知る由もなく、2人の立ち直るのを心待ちにしていたように思う。A氏の好意をこれほどまでに踏みにじった2人はそれ相応の罰を受けるべきだが、西は鈴木に追い込まれて自殺してしまった。鈴木は西の分まで罪を償わなくてはならないのは当然のことだ〗
〖裁判は事の真実を追求するのは当然として、原告と被告の主張が事実かどうかを検証する場所だと思うが、品田裁判長は真実を捻じ曲げ、事実も認めようとしなかった。結局はひどく歪曲した自分の論理を強引に押し通し、自分の誤った判断の辻褄合わせをしながら正当化させ、鈴木を擁護するかのような判決を下し、A氏の主張を全て棄却してしまった。裁判長にこんな権限は与えられていないはずだ。品田裁判長の暴挙が不当な判決を生み出した〗
〖鈴木は、フュージョン社の町田修一の斡旋で3社のペーパーカンパニーを用意し、その3社の常任代理人に杉原正芳弁護士を選定していたが、これも町田の紹介だったようだ。鈴木は悪企みの一環で、杉原弁護士に指示して宝林株購入資金を紀井氏からの借入と偽った報告書を金融庁に提出させた。名前を利用された紀井氏も購入資金を援助したA氏もこの事は知らなかった。明らかにA氏の関与を消す為の策略だった。宝林株を買収した当初から鈴木の裏切りが始まっていた〗
〖親和銀行事件は、銀行側が元辻田徹頭取を特別背任容疑で告発した事から鈴木の悪事が暴露された。この事件は総会屋や暴力団組長が絡んでいた事で警察が本気で捜査することになった。この事件は、鈴木と友人の青田光市が辻田元頭取にハニートラップを仕掛け、スキャンダルを恐れた辻田が不正融資を繰り返した事が原因だったようだが、この事件で鈴木の卑劣な人間性が明らかになっている。しかし、鈴木は長谷川元弁護士と銀行側の顧問弁護士であった凄腕の田中森一弁護士を金の力で談合させることによって懲役3年、執行猶予4年という有罪判決を受け、社会に復帰している。この時に鈴木が親和銀行に支払った和解金は約17億円という莫大な金額だったが、警察はこの資金の出所までは追及しなかった。一部のマスコミは、ヤメ検で検察庁にも大きな影響力を持っていた田中森一弁護士の力が勝ち取った判決だったと報じたが、警察が不正の臭いがするこの17億円の出所を捜査していれば、これ以後の鈴木の悪事は防げたと思う〗
〖鈴木の周囲では10人前後が命を失っているという指摘がある。その中にはFR社の創業当時からの側近だった大石専務と天野常務の名前もある。大石専務は親和銀行事件で鈴木の指示で不正融資を隠す為のダミー会社の代表取締役を務めていた為に共犯で逮捕され、執行猶予付きの刑を受けた。拘留中だった大石の妻には、「口を封じたい」との鈴木の要請で西が5000万円を届けたようだ。刑が確定した大石は、その後、不可解な交通事故で命を落としている。鈴木を知る周囲の人間達は、この事件にも鈴木の関与があったのではないかと推測していたようだ〗
〖FR社は、親和銀行事件以後、社会的制裁を受けた鈴木の関与を消す為に「なが多」、「クロニクル」へと社名を変えていった。親和銀行事件でFRの代表権と大株主の立場を剥奪された鈴木に代わって天野氏は代表取締役に就いたが、実際には鈴木が裏で創業者としての権力を保持し続け、継続して深く関与していた。天野氏は、鈴木との関係を断ち切るために様々な方策を講じたようだが、鈴木の専横を防ぐことが出来なかったため鈴木との関係は悪化した。鈴木は、A氏を騙して独り占めにした株取引の利益で、後に殺されたファンドマネージャーをしていた霜見誠を利用してペーパーカンパニー名義でクロニクルの株を大量に買い、相場を操作して莫大な利益を上げた〗
〖A氏から宝林株購入資金の援助の約束を取り付けた西は、鈴木に宝林株の受入先のペーパーカンパニーを準備させた。西は売却先と価格の交渉をし、約3億円での売買契約を締結した。決済引渡日は5月31日と決定し、A氏から3億円の資金を借り入れた。鈴木は西からの報告を受けて着々と受入準備をしていたが、鈴木の頭の中には宝林株800万株を支配して、株価を高値誘導した後に得られると期待した利益を完全に支配するという悪辣非道な策略しかなかった〗(以下次号)