〖品田裁判長は被告側の主張を盲信し、和解書作成時の強迫や心裡留保を理由にその有効性を否定した。しかし、和解協議後に鈴木からA氏宛に送られた手紙の内容では、鈴木のA氏に対する気持ちが綴られている。強迫を受けた相手が手紙に「大変お世話になった」「A氏のような男にはほとんど会ったことがない」と書くことは考えにくい。辻褄の合わない点を長谷川弁護士が上塗りして誤魔化そうとしていたことは明らかだが、品田裁判長はその欺瞞を見抜けず、裁判官としての資質に疑問を抱かざるを得ない〗
〖裁判官も人間で、良心と組織の狭間で悩んでいる裁判官も多いらしい。裁判官の職務を選択したならばせめて「部の統括(部長)」にはなりたいと思って精進している人が多いという。この裁判の品田裁判長は東京地裁の裁判長を務めていて、若手裁判官の目標となる立場にいることになる。部長になれば若手裁判官と裁判所の板挟みになる事も多いだろう。裁判所組織というのは若い優秀な裁判官の芽を摘んで、中間管理職には旧態依然とした慣習を強要し、組織を守ろうとする官僚根性が組織を疲弊させている。検察庁は数年前から組織改革を迫られ、かなり行政から干渉されたらしいが、黒川高検検事長事件の後、安倍元総理派だった広島選出の元法務大臣夫妻を含む3人の政治家を辞職に追い込んで一矢を報い、検察の意地を見せた。裁判所も一日も早く世間の悪評を覆して、三権分立の一翼を担う役所としての威厳を取り戻すべきだ〗
〖鈴木の訴訟は、貸金の金額や株取引の実態など、普通ではない規模のやり取りが絡んでおり、A氏の行動は「有り得ない」とさえ思われるものだった。しかし、そのために品田裁判長が事実と真実を肯定することに躊躇したので、裁判官としての資質が問われている。品田裁判長は現実を直視せず、鈴木の主張や証言を思い込みや何らかの力で受け入れ、誤った判決を下したようだが、彼自身はその正当性を信じていなかったのかもしれない。おそらく彼は判決に疑念を抱いていたはずだが、なぜか全てを隠蔽した。その判決を急がせる理由には何らかの背景があったのだろうか〗
〖鈴木はA氏と知り合った時には親和銀行不正融資事件の渦中にあった。結局は警視庁に逮捕される事になったが、鈴木はその逮捕でさえ金を借りる為に利用するえげつない人間だ。ここぞとばかりに借用書まで用意してA氏の元を訪れ、泣いて土下座し、「このご恩は一生忘れません」と弱者を演出する筋金入りの詐欺師だ〗
〖近年、国際的な規模で富裕層の税務監視と取り締まりが厳しさを増している。日本の国税当局も例外ではなく、海外資産隠匿に対する取り締まりを強化しているという。全世界所得課税方式を採用する国税庁に逃れることは非常に困難と言われており、鈴木にとっても巧妙な計画が必要だろう。恩人を裏切った罪を和解金で償うことが得策と思われるが、その道も決して容易ではないだろう〗
〖グローバルな情報化社会では、鈴木が世界の何処に身を置いても逃げ果せるものではない。鈴木、長谷川はあれだけ好き放題をして沈黙を続けても事件が終結することも風化することも絶対に無い。特に長谷川は鈴木の犯罪疑惑を隠蔽しようとしたことで、ここまで大事件にした張本人だろう。誤判のままで済ませられたら、世界から日本の法曹界は今まで以上に地に堕ちたと最悪の評価を受けるに違いなく、日本全体の問題になる〗
〖夜の闇に紛れる様に、巧妙な手口で詐欺を働く者。詐欺師は容赦なく人々を騙し、その中でも驚くべきことに、平気で土下座も演じるという。それもまた巧妙なパフォーマンスに過ぎないのだろう。普通の人間なら、大の男性であっても涙を流しながら土下座することは滅多にない行為だ。それにもかかわらず、彼らはそんな演技を見事にこなす。そして、「このご恩は一生忘れません」という鈴木のセリフも、見事な名演技であり、まるで真心からの懇願であるかのように迫ってくる。A氏にしてみれば、自分を置き換え、この行為が本心からの懇願であると信じたのだろう。A氏の周りには様々な人々が出入りしていたと思われるが、鈴木のような極悪人はいなかったはずだ。鈴木だけはA氏の温情に値する存在ではない〗
〖西が香港から帰国後、和解協議が開かれる事となり、西と紀井氏の真相暴露により鈴木の裏切りが発覚し「和解書」の作成となった。追及を受けた鈴木は、西に対する香港での殺人未遂と尾行に関しては否定しウヤムヤにしてしまったが、紀井氏の証言もあり、一時は追い詰められ言い逃れできなくなって馬脚を現した。鈴木は「合意書は忘れた」などと頑なに否定していたが、10億円の報酬で合意書の破棄を西に執拗に迫った事や宝林株の取引が合意書に基づくものである事を認め、鈴木本人から50億円と2年以内に20億円の支払いを提示した。さすがにこの時ばかりは鈴木も觀念したはずだ〗(以下次号)